あなたと共に永遠を 「いつか、きっと、お迎えに参ります」 彼女を胸に抱き、そう囁きながら、私は懸命に思考を巡らせていた。 彼女と私は住む世界が違う。 そして、彼女はこの新宇宙から離れることは出来ない。 ならば私が、こちらに来るしかないだろう。 一介の研究者である私が、新宇宙の聖地に暮らすことが簡単に認められようとは思わないが、彼女と再会した今、もう彼女と別れることなど考えられない。 何としても、彼女を手に入れる。 私はそう、決意した。 「エルンストさん…」 うるんだ瞳で見上げてくる彼女。 この少女を守りたい。 そう固く心に誓う。 「アンジェリーク」 「はい」 「待っていて…もらえるでしょうか。私は必ずあなたの元に帰ります。その時は…結婚しましょう」 「エルンストさん?!」 胸の中にいる彼女には、今の私の表情が見えないだろうことが救いだった。 声は必死に冷静さを装っているが、きっと顔は真っ赤になっていることだろう。 「アンジェ、返事が…返事を頂きたいのですが」 「嬉しい…嬉しいです!ほんとうに私でいいんですか?」 「もちろんです。言ったでしょう?私の真実はあなたなんです」 「エルンストさん…はい、よろこんで」 「よかった…」 そっと心の底から息をつく。彼女に気付かれないように。 自分の感情がこれほどまでに計算できなかったことが過去にあっただろうか? そんな自分の新たな面を発見して、なんとなくおかしくなり思わずくすりと笑いが漏れてしまった。 「エルンストさん?」 いきなり笑い出した自分を見て、不思議そうに首を傾げるアンジェリーク。 一旦彼女を離し、見飽きることのない、その吸い込まれそうな瞳を見つめて告げる。 「いえ、なんでもありません。ただ…」 「ただ?」 「私が愛したのがあなたでよかった。心からそう思います。この宇宙の至高の存在であるあなたを奪ってしまう私は罪深いのかもしれない」 この言葉を聞いた瞬間、アンジェリークの顔に影がおちた。 自分の立場、何故今まで自分達が離れて暮らしていたかを再確認させられたのだろうか。 私は気付かない振りをして、そのまま言葉を続けた。 「しかし、私はこうして再会できて、同じ気持ちであることを…私を愛していると告げてくださったあなたと、二度と離れる気はありません。ですから、しばらくの間待っていてください。必ずお迎えに上がると誓いましょう」 「でも…」 「大丈夫です。私はこう見えて貪欲なんです。欲しい物は自力で手に入れるものですから。そうだ、これからレイチェルの所にお許しをもらいに行きましょう。せっかくの陛下のお計らいの訳ですしね」 「あ…レイチェル、心配してるかな?」 「そうですね。優秀な補佐官殿に心配をさせてはいけない。戻りましょう」 相変わらずちょっとずれたところで心配そうな顔をする彼女が、たまらなくかわいらしくて愛しい。 苦笑しながら、肩を抱いて帰城をうながした。 −− −− 窓の外に鐘の音が聞こえる。 私達を祝福する音。 誰もが予期せぬ結末。 こんなかたちで私達が結ばれる日がこようなどとは、どんなに手を尽くしたとしても予想はできなかっただろう。 まさに「女王陛下の思し召し」と言ったところなのか。 いや、そうではない、私達が選んだ、私達の未来なのだから。 「エルンストさん、時間だよ!」 「メル」 扉を開けて元気に飛び込んでくるメル。 初めて会ったときからは随分変わったが、その本質は変わらない。 「アンジェリーク、待ってるよ。すごく綺麗」 「そうですか」 「…あ、照れてるでしょ?」 「……こほん。今行きます」 メルと共に控え室を出て、式場に向かう。 もうすぐ扉が開く。 白いウエディングドレス姿のあなたはどれほどに美しいだろうか。 最前列に座ったレイチェルが目配せを送ってきた。 「頑張れ」というメッセージを受け取ったとたん、唐突に音楽が変わった。 扉が、開く。 「あなたと共に、永遠を誓います、アンジェリーク」 (fin) ------------- 何だろう、某ドリーム書いて以降、乙女モードスイッチが入っている模様(笑) 最高のパートナー、如月彰様の7000GETキリ番リクエストは、なりBでのエルコレバトルの続編、できれば結婚式まで!というものでした。なんなら裏まで、と言われましたが、歯止めがきかなそうなので止めました(笑) 最初書いているときにはわからなかったこの熱愛っぷり(笑) そうとう妄想モード入っています、葉月さん。 これは某アニメの逃避的反動なのかどうか^^; そして「エトワールが出る前にっ!」と必死に書きました。 ラストに至るまでの過程はすっ飛ばしましたが、エトワールの内容と矛盾しないための一時措置だと思ってください。だって何があるかわからないし。 場合によっては、続編みたいなものも書くかもしれません。 というわけで、逃げずに感想聞かせてね、如月?(にっこり) |