劇団四季『オペラ座の怪人』鑑賞記
8月24日 マチネ 電通四季劇場[海] 

キャスト
ファントム:佐野正幸
クリスティーヌ・ダーエ:沼尾みゆき
ラウル・シャニュイ子爵:北澤裕輔
カルロッタ・ジュディチェルリ:種子島美樹
メグ・ジリー:宮内麻衣
マダム・ジリー:秋山知子
ムッシュー・アンドレ:林 和男
ムッシュー・フィルマン:青木 朗
ウバルド・ピアンジ:半場俊一郎
ムッシュー・レイエ:松下武史
ムッシュー・ルフェーブル:川地啓友
ジョセフ・ブケー:岡 智


佐野さんがファントム昇格と聴いて、急遽予定変更して当日券で見てきました。
ほんとはVはソワレ18時半だったから、出社してからそこだけ行くつもりだったんだけど。

なんていうか。
無理して行った甲斐があったよ。
本当に去年見たのと同じ劇場の同じ作品??というくらい素晴らしかった。
今の四季でもここまで出来たんだ。
もう一度オペラ座で泣ける日が来るとは思わなかった。
私にとってオペラ座の怪人というのは一番思い入れの強いミュージカルなのです。
思えば98年に赤坂で微妙な出来のを見て以来、ミュージカルそのものがトラウマになってしまい、昨年の映画がなければ二度と四季を見に行こうとは考えなかったけど、久々に行った結果が去年の悪夢…。
もう、ほんとに最近の四季と私の感性は合わないんだ、新しい演技派ファントムが出るまではオペラ座観劇自体封印しようと、あれだけミュージカル三昧してたにも関わらず全く四季ものは見なかったわけですが。

佐野ファントム、ブラボー!!

もちろんそれ以外にも今日のキャストが非常に相性の良いメンバーがそろったこともあります。
佐渡さんの声も姿も美しいけど強すぎてファントムへの愛がかけらもないクリスティーヌを全く受け付けられなかった私には、容姿は若干…だけど夢見がちな雰囲気を十分持ち、ファントムにもラウルにも愛情を感じられる歌と演技の沼尾クリスティーヌは、野村クリスティーヌ以来の大ヒットでした。
北澤ラウルは思っていたよりはすごくよかった。
昨年の佐野ラウルが素晴らしすぎたので、それ以外はすべてだめと判断してしまうんじゃないかと思っていたのだけど、なよっちいながらも大健闘。
見栄えもそこそこだし、細いのに声が良く伸びる。
演技は佐野さんがお手本?ところどころにそんな感じを受けましたが、それもあって嫌いじゃありませんでした。

宮内メグは声もスタイルもかわいかったし、特筆すべきは種子島さんの成長っぷり。
去年は声も演技も軽すぎてだめだめだったのが、あいかわらず声は軽いながらもしっかりとカルロッタに見えるように歌い方と演技は重厚になってました。
うん、これなら映画版のかわいらしいカルロッタに近くてそれもあり。
四季の歴代カルロッタのイメージとは違いそうだけど。
半場さんはお疲れなのか、いまいちだったけど、支配人ズは相変わらず快調。
アンサンブルも今日はダンスも歌もバランスがよかった。

でもなんといってもやっぱり佐野ファントムなんだ。
佐野さんのあのスレンダーな体型と美声、それを存分に生かした演技力。
初演アンサンブルの頃からオペラ座に携わり、オペラ座という作品を存分に理解して愛してきたからこその感動の演技なんだと思います。
もっと沢木ファントムに近い演技重視なのを予想してたんだけど、予想外に山口ファントムに近かった。
歌と演技のバランスは私が知っている歴代ファントム(市村・山口・沢木・今井・高井。綜馬さん(芥川さん)、青山さんは見てないけど見当はつくが村さんだけ全く縁がなくてわからない…)の中でも秀逸。
正直、歌だけで言ったら高井さんや祐さんには絶対敵わないと思う。
でも、あの身のこなし、久しく見ることのなかったダンディなファントムの誕生ですよ。
すっとクリスティーヌの頬を撫でる手に、映画のジェラルド・バトラーが重なります。
多分綜馬ファントムはこんな感じに近かったんじゃないかな。
長身なので、舞台に映えます。
ああ、本当に日生劇場が恋しい。
それでいて思った以上に低音が良く響く。
ファントムって異常に音域広いんだよね。
だからこそ難役で、ミュージカル役者の憧れなんでしょうが。

墓場〜ポイントオブノーリターン〜地下あたりの一連の感動どころは、もう主役二人に泣かされっぱなしでした。
墓場の二重唱なんて鳥肌立ったもん。
無理して行ってよかった。
8年間のもやもやがすっと晴れた感じです。
佐野さんがファントム続けてるうちに友人を連れて行かなきゃ(笑)