極上の音楽を え?珍しい。 私は思わず足を止めた。 「ルヴァ様、コンピュータなんかお使いになるんですか?」 「ああ、アンジェリーク。私がコレを使ってるのはめずらしいですかね?」 苦笑しながらもキーボードを操る手は止まらない。 「いえ。そういうわけじゃないですけど」 意外。 見た目とは裏腹に、とっても器用なんだ、この方。 うわ、指長いんだ。手、きれい…。 華麗にキーボードを舞う指は、心地よいリズムの音楽を紡ぎ出す。 つい見とれていたら。 「どうかしました?」 いつのまにか指は止まっていて、瞳を覗き込まれていた。 ブルーグレーの視線が真っ直ぐ向かってきて、ちょっと眩しい。 「…ルヴァ様、指長いんですね」 「はぁ…それは褒め言葉なんでしょうか?」 「はい、もちろんです。お邪魔してしまいましたね、どうぞお仕事続けてください」 指が紡ぎ出す極上の音楽の続きを聴きたくて。 そっとドアを閉じかけて。 あ。そうだ。 思い出してもう一度ドアを開けて告げる。 「ルヴァ様、お誕生日おめでとうございます」 (fin) *********** ハードディスクの片隅に眠っていた作品です。 あまりに短くて、出そうかどうしようか悩んでたんですけど、 ルヴァ様のお誕生日になにもしないのはあまりに寂しいので、ちょっぴり書き足してお誕生日創作にしてみました。 ルヴァ様、不器用って言われることが多いですけど、私のイメージでは、案外音楽とかコンピュータとかは強そうな気がします。 アナログなイメージのルヴァ様が実はハイテクだったらびっくりするだろうなぁ、というのが最初にこの話を思いついたきっかけです。 (フリー配布は終了しています) |