前奏曲 はいはーい、報道部でーす! 学内コンクール第二セレクションも間近に迫った今、皆さんの注目を集める参加者! 今回はここ、校門前から学内コンクールに出場される皆さんに、普段の練習について教えてもらおうと思います。 ええと・・・あ、ちょうどいいところに♪ こんにちは、志水君。 「あ、天羽先輩。こんにちは」 今、コンクールに参加する皆に「普段の練習について」っていうテーマで話を聞いてるんだけど、志水君は? 「普段の練習、ですか?練習って、技術の要になるものですから大切ですよね。チェロは」 まずっ、これが始まると長いのよねぇ・・・コメントはとりたいけど今日中にみんなのコメントとらなきゃいけないしなぁ・・・あ、ええと、その・・・ 「志水君、あのっ」 おーーっらっきーvvコメントも取れて一挙両得!どうしたの冬海ちゃん? 「きゃっ、天羽先輩!ごごごごごめんなさい!お邪魔、してしまったんですね」 おーい、気付かなかったの?ま、いいけど。志水君に用事? 「僕に?」 「志水君・・・」 あの、君に声かけてるんだけど・・・ 「あ、そうでしたか・・・なに?冬海さん?」 「ええと、プリント。金澤先生に頼まれたから・・・。じゃ、じゃぁあの、邪魔してしまって本当に済みませんでした、天羽先輩。し、失礼しま」 ちょーーーーと待ったー!!! ねねっ、冬海ちゃん、コンクール参加者として、普段の練習の様子とか聞かせて欲しいんだけどな。 「え、え、あの、私の、ですか?そんな、恥ずかしいですから」 いや、そんな遠慮するようなことじゃないし。 香穂には話せて私には内緒ってこと、ないでしょ? 「ええっ!なんで、香穂先輩に話したこと知ってるんですか!」 ふっふーんvvこの報道部天羽菜美様の情報網は完璧よ。 ・・・っていうか、香穂が「冬海ちゃんが一生懸命話してくれた!」って嬉しがって自慢してただけなんだけどね。 で、本題。 普段の練習の様子、教えて欲しいんだけど。 「あのー、天羽先輩?僕、もう行っていいですか?いい天気だから練習したいし」 あ、ごめんごめん。 貴重な話聞かせてもらってありがとう。 こんどは・・・もうちょっと短くまとめてもらえると助かるんだけどね・・・いや、こっちの話。またよろしくね。 「はい。じゃあ、失礼します。冬海さん、また」 「またね、志水君」 おおーなんか仲いいじゃないお二人さん。 「ち、違います、そんなんじゃないです」 顔赤くしちゃってかっっわいいーー。 さすがは隠れファン多しという冬海笙子ちゃん。 初々しいねーー! 「おい、何冬海いじめてるんだよ。こんな目立つところで」 「ち、違います!あの、天羽先輩は…」 いじめてなんかいませんよー。インタビューしようとしてただけ。冬海ちゃんだって違うって言ってるでしょ。 「…どうみてもいじめじゃねーか。まあお前に悪気がないのはわかってるけどな」 「あの、土浦先輩…」 ふふーん。報道部の鑑でしょ。で、ここを通りがかったが100年目、土浦君にもインタビューに答えてもらいますからね。順番順番。 「えっおいこら天羽!」 お題は普段の練習について。お嬢様な冬海ちゃんと、元サッカー部土浦君の練習って興味あるのよね、みんな。 「元じゃねえ!休部してるだけだ!」 うるさい、そこの大男。 「ちょっ、おまえなぁ」 だからうるさいってば。順番なのよ。ちょっと待ってて。 「練習…毎日学校終って家に帰ってからレッスンがない日は練習室で夕食まで。それから夜は十時位まで吹いてます。気持ちいい音が出たときは、ずっと吹いていたいって思います。練習って大事ですよね」 って、冬海ちゃんがこんなに一生懸命話してるのに何こっそり逃げようとしてるのよ。観念しなさい! 「おい、天羽!」 なんかじたばたしてる人がいるけど気にしなくて良いのよ冬海ちゃん。 どうもありがとうねー。またよろしく。 「はい、先輩のお役に立てたならよかったです」 立てた立てた。ありがとーー! 「おい、天羽!!」 なに?次は土浦君の番だから心置きなくしゃべってくれていいのよ? 「だからおいっ!…ってお前に何言っても無駄か。さっさと答えた方がよさそうだな」 あらーよくわかってるじゃない。さっすが。 「練習時間は冬海とほぼ同じ。ただ自宅より知り合いのとこで弾かせてもらうことのほうが多いな」 え?じゃあ今までも毎日弾いてたの?コンクール参加前も? 「当たり前だろ?じゃなきゃあれだけ弾けるわけ…っと」 ふふーん、そんな罰が悪い顔しなくてもいいのよー。 これはちょっとおもしろい記事が書けそうね。どうもご協力ありがとうっ! 「不覚だった…」 何かいったー? 「いいや別に。もういいだろ、行くぜ」 はいはーい、ありがとーまたねー。 次の獲物はっと。あ、来た来た。月森くーん。 「天羽さん?何か?」 報道部のインタビューでーす。普段の練習について聞かせてほしいんだけど。 「答える義務はない」 そういわずに! 「つまらないことに割く時間はない。失礼する」 「おや、月森君と天羽さんじゃないか。こんにちは」 「やっほー月森君。…わ、天羽ちゃん…」 柚木先輩に火原先輩!ナイスタイミング! 「そうなのかい?」 「いいえ全く…痛っ」 あら痛そうな顔してどうしたの、月森君?足を踏んだ?気のせいよー♪ そうそう、ナイスタイミングでしたよ先輩方。 今、コンクールに参加する皆様に「普段の練習について」っていうテーマで話を聞いてるんです。 是非先輩方にもお話を聞きたいなぁって。もちろん月森君も。 「いや、だから俺は…」 「いいじゃないか、月森君。隠すような話でもないでしょ」 ・・・ゆのきせんぱい、なんか逃がさないぞ的黒いオーラが見えるような… 「何か言った、天羽さん?」 いえ、別にーー 「うん、俺も月森君が普段どういう練習してるのかって興味あるな」 「火原先輩まで…」 「ほら、期待されてるよ、月森君」 「わかりました。特に珍しいことはないですよ。レッスンがある日は先生のところで、ない日は自宅で夜まで。自室は防音なので時間はあまり気にしたことはありませんが、体調管理も演奏家の責任だと思うので、睡眠はしっかりとるようには心がけています」 「さすが真面目だね、月森君は」 「えー、柚木だって似たようなもんだろ?」 「そうかな?僕は生徒会の手伝いや実家の手伝いがあるから、そんなに練習に時間は割けていないんだ。でもフルートを吹くのは好きだからコンクールに選ばれたのは光栄だと思っているよ。三年生として恥じない演奏が出来るように練習するつもりだよ。人に聞いてもらえるのは嬉しいことだしね」 おっと出ました柚木先輩の優等生発言。 「心外だな、僕はそんなつもりはないんだけどね」 「柚木はほんとに優等生だもんね。次は俺?」 はい、よろしくお願いします。 「俺、実は練習って苦手なんだー」 …火原先輩らしいですね。 「うん。でも、トランペット吹いてる時ってほんと楽しいんだよね。こう、なんていうかすかーーっとするんだ。ずっとずっと吹いていたいって思っちゃう。でもうちには防音設備とかないから、主に学校で練習してるかな。あとは公園とか」 なるほど。とっても先輩らしいです。 メモしてっと。 先輩方、月森君、ご協力どうもありがとうございましたー。 この記事は次の校内新聞に載りますので是非読んでくださいね。 「わかったよ、天羽さん。それじゃ僕たちはこれで失礼するよ」 「またね、天羽ちゃん」 「俺も失礼します。では」 よーし。残すは後一人。がんばるぞー!! そろそろくるはずだよね、最後の一人〜。 あ、香穂ーーー!!!! 「菜美?!」(fin) ------------------------ 第八弾天羽ちゃん。 長かった(笑) 天羽ちゃん、一人爆走です。もう誰も止められない。 天羽一人称は非常に書きやすくて、書いてる間中本当に楽しかったです。 天羽ちゃんのつっこみポイントって私に近いんですよね。 私はあんなに爽やかに軽やかに人と話せませんが。 このあとの香穂ちゃんへのインタビューは親友ならではの会話が色々聞けたことでしょう。 まあそのあたりはご想像にお任せします(笑) |