月の砂漠

アンジェリーク、あなたは砂漠をご存知ですか?
多分、ご存じないと思いますが。
砂漠とは孤独な場所です。
そこは見渡す限り砂の荒野。永遠に続くかと思われる地平線。
昼間は酷暑の太陽が旅人を苦しめるのに、夜になれば極寒の地へ早変わり。
一条の月の光が差し込む以外、そこにはなにもないのです。

しかしそこにはオアシスと言う希望があります。
オアシスとは、乾ききった大地に与えられた唯一の恵み、憩いの泉です。
女王の…そう、あなたのサクリアがもたらした希望なのですよ。

旅人はみなこのオアシスでしばし疲れを癒し、明日への希望を蓄えてまた旅立ってゆきます。
大地の恵みが明日への活力を生むのですね。
私は、あなたがこのオアシスであるように思うのです。
あなたに会うととても心安らぎ、何か…こう、勇気がわいてくる気がするのですよ。

あなたが私のオアシスであるように、私もあなたの憩いの場となれればよいのですが。


・・・おや、眠ってしまったのですか?疲れているのですね。
そうですね、しばしお休みなさい。大丈夫、使いを出しておきますから。

おやすみなさい、アンジェリーク。この腕の中でゆっくりと、しばし幼子に還って。
大地の恵みが、あなたを癒しますように。(fin)
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