Kirie eleison 〜主よ憐れみ給え
「はいどうぞ。おいしいですよ」
手渡されたのは真っ赤なりんごひとつ。
渡すだけ渡して駆け去って行った少女の後姿を
じっと立ち尽くしたまま目で追う。
姿が完全に見えなくなってから初めて
渡されたりんごに目を向けた。
「この意味を深読みしすぎてはいけないのでしょうけれどね」
かしゅり。
紅い実は禁断の果実。
その伝承を彼女はきっと知らない…
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